場の空気を変え、学びを促す言葉の使い方


ファシリテーションの研修をここ数年間実施してきて、ときどき気になることがあります。
演習を実施した後の振り返りを行う際に、私は「良かった点と改善点に分けて実施意見をだしてください。」
とガイダンスをします。
すると必ずいくつかのチームが表現を変えているのです。
最も多くみられる表現の変更が“改善点”を“悪かった点”としているケースです。
良かった点の反対語をイメージすると確かに悪かった点となります。
ただこの表現はファシリテーターとしては 気をつけたい言葉です。なぜなら...
”悪かった”という表現は、行動した後の問題点にフォーカスが向いてしまいます。つまり過去に視点が向いています。
この意識を強く持ってしまうと、他人や自分を責めたり、あるいは犯人探しが始まってしまいます。

人は過去の好ましくない行動にあまり目を向けられてしまうと、エネルギーが萎えてしまいます。
皆さんも経験されたことはないですか?
「もうやってしまったことを根掘り葉ほり聞かれても、どうしようもない。早く止めて欲しい!」
ファシリテーターやリーダーの存在は場を活性化することです。
つまりプラスのエネルギーを促進することであって、奪うことではありません。
言葉の使い方一つで、随分と場の空気が変わるものです。
“改善点”という表現は視点が未来に向いています。
過去の行動からの学びを教訓として次に活かそうとする前向きなエネルギーが感じられます。
チームメンバーがともにとった行動から学ぶことを促進することも大切な役割です。
行動しても何もそれから学ばない、学ぼうとしないのでは、行動が活かされません。
結果の前には必ずそれにつながった行動があります。
うまくいったことからは成功要因を、好ましくなかった結果からはその原因と次に向けての改善行動をチームで考え、
さらにステップアップした行動を促進することが大事です。
そうすればメンバーは委縮することなく、主体的にチャレンジ行動、改善行動を取るように変わっていきます。

私の友人は「ファシリテーターは“場活師”だ。田岡さん、一緒に場活師として、皆を元気にしていきましょう!」
と言ってくれたことがあります。
“場活師”素敵な言葉だとおもいませんか。
皆さんも自分も周りも元気になるような、場を活性化できる言葉を選び、どんどん使っていきましょう。