普遍的な企業理念とは?


ある大手メーカーでリーダーシップの研修を実施していたときのことです。

受講生の方からこんな意見をいただきました。
・今のような変化の激しい時代は不変的な企業理念なんてないんじゃないですか?

私は、このご意見をいただいた時にグループに分かれて意見交換をしていただきました。
グループ討議で、でてきた意見は、確かに不変的なものは、
ないと思うが40%、
いや企業理念は変わらないという意見が60%という結果でした。
読者の皆さんはどのようなご意見をお持ちですか?

私は、このとき以下のような話を紹介しました。

企業理念が不変かどうかは、その内容にもよりますから判断は難しいでしょう。
ただ日本には二百年以上続いている長寿企業が数多く存在します。
二00七年六月にNHKスペシャルで日本の長寿企業の特集がありました。
大変興味深い内容だったので、メモをとりながら視聴しました。
ちなみに二百年以上続いている企業が世界一多い国はどこだと思いますか?
その時のメモによると
・中国 九社
・インド 三社
・台湾 七社
・アメリカ 十四社
・オランダ 二百社
・ドイツ 八百社
そして日本は?

なんと三千社以上もあって断トツの世界一なんです。そしてさらに興味深いのは、
長寿企業に見られる共通の特徴を紹介していました。
その特徴とは・・・
一つ目の特徴は
「お客様との信頼関係を創っている」ということです。
つまりお客様は「商品を売る相手」ではなく
「長くお付き合いをするための信頼関係を築きあげていく相手」として捉えているのです。
この信頼関係が企業の無形の財産となっていくわけです。

二つ目の特徴は
「不易流行」の考え方です。
不易とは:永遠に変化しないもの、いつの世も変わらぬ原理原則。
流行とは:時間と共に変化するもの。

番組では創業450年の歴史を持つ、鋳物メーカー「なべや」が紹介されていました。
なべやの不易にあたる要素は「伝統的な職人技」、
流行に当たる要素は「最新技術」です。
代が変わっても脈々と受け継がれていく要素と
時代の変化に応じて変えていくべき要素をきちっと捉えて、取り組んでいくことが
長寿企業として繁栄するための必須条件と言えるのではないでしょうか?

今の様な厳しい時代だからこそ、リーダーとして何を守り、何を変えていくべきなのかが
問われているのではないでしょうか?