行動指針を行動に結びつけた取り組みとは?


500店ほどの店舗を全国展開しているリテール業界においてサービス強化の研修の依頼を受けた時のことです。

担当の方が
「今回3段階に分けて研修をお願いしたい。」

私:「3段階とは?」

担当者:「よく言う、守、破、離のステップです。」

(守)
まずは、会社で決めた行動指針から始まって、サービスのマニュアルを徹底して教えて欲しい。
弊社には先人達の経験や知恵に裏付けられた素晴らしいマニュアルがある。
まずはこれをとにかくできるようになってもらいたい。

(破)
次に、その基本が身についたメンバー達に対して、
マニュアルにはなかった方法を自分達が工夫して、実践できるようリードして欲しい。

(離)
最後に、それぞれに個性、持ち味を生かしたサービスを自分たちなりに発展させ、
顧客に感動を与えられるレベルまで到達して欲しい。
以上のようなステップで、進めて欲しいとの内容でした。
多少の戸惑いをもちながら、プログラムを組み立てて現在「守」の取り組みを実践するなかで、
効果が出ている内容の一部を紹介いたします。

それは「守」を徹底することにおけるちょっとした工夫が大変良い効果を生みだしている事例です。
今までは5つの行動指針を朝礼で唱和していただけの取り組みをやめて、
その代わりに、具体的に行動指針に基づいて今日はどう行動するかをひとり一人宣言してもらうことにしました。

はじめはうまく表現できなかった新人たちも、先輩に真似て実施しているうちに徐々に表現できるようになったと同時に、
行動指針に基づき行動することのイメージが理解できたようで、実際の行動に変化がおきてきました。
さらには、その変化がお客さまに感じていただけるようになり、
お褒めの言葉をいただいたり、感謝されたりする機会が増えてきたようです。
現在では、行動指針に基づき接客した成功事例が毎月の店内ミーティングで共有されるようになり、
スタッフがさらに前向きに、また自信をもって取り組むようになってきたとの報告を受けました。
感動のサービスを目指すには、まず基本行動の大切さ、その意味合いをスタッフ全員が腹に落とし、
日々行動することから始めることの大切さを私自身も改めて気付かされました。

基本行動がスタッフ全員に徹底されるだけで、特別なことはしなくても十分に競合との差別化が図られたようで、
JDパワーの顧客満足度調査で大幅にスコアーが改善されました。