商品を売ろうとするのではなく、まずはいい関係を創ること


ある化粧品メーカーの営業部門の方々に対して、リーダーシップ研修を行っていた時です。

受講生の一人のA店長がこんな質問をしてきました。

「目標管理制度が導入されてから、みんなのモチベーションが下がって困っています。
どうしたらいいですか?
正直言って、私自身も毎月のノルマを考えると憂鬱で、モチベーションが下がってしまう。
社員やアルバイトにもついつい厳しいことも言いたくなる。」

すると別のB店長がこんな意見を述べました。

「目標管理制度はあまり関係ないんじゃない。売り上げ目標は前から言われてるし、今さら始まったことじゃないよ。
モチベーションが下がった原因は別にあるんじゃない。現に活気があって売上のばしている店舗もあるわけだし。」

そこで私は受講生に「活気があり、売り上げを伸ばしてる店舗にはどんな要因があるのか
自分自身の成功体験も踏まえ意見を出してみてはどうですか?」と提案をしました。
すると、いくつかの要因がでてきました。
・コミュニケーションが活発
・チームワークがいい
・人材育成に力をいれている

等々出てきた中で、彼女に響いた意見がでてきました。

それは
「そもそも何のためにやってるかわかってないんじゃない?」
という、C店長の意見でした。この意見はA店長に大きな気づきを与えたようです。
このあとA店長は私のところにやってきてこんな話をしてくれました。

「私が店長になる前のことですが、少し年配のご婦人が来店され、
『夫に先だたれてからはお化粧する気にもなれず、家に引きこもってばかりの毎日だったの。
するとなんだか気持ちだけでなく、ずいぶんと見た目も老けたようで、
嫁にも注意をされたので久しぶりに化粧品を買ってみようかと思って・・・』

そこで私はご婦人の肌をチェックし表情が明るく見えるメイクを教えてさし上げました。
数週間後そのご婦人がご来店され、『お化粧するようになってから性格まで変わったみたい。
外出の機会も増え、お友達も増えたわ。お化粧って凄い力ね!』
あのとき私は会社の経営理念を思い出しました。
私たちは人がその個性を活かし美しくなるお手伝いをしていることを・・・

商品を売るのが目的ではない、お客様のことをよく理解し、
お客様にあった化粧品やメイクをお薦めすることで喜んでいただくことこそが目的なんだと。」

私たちは仕事をしているとつい本来の目的を見失いがちです。

ときどきは原点に返って、本来の仕事の意義を考えてみることも大事ですよね。

ちなみに私が過去お会いしたトップ営業の方はジャンルを問わず共通項があります。
それは皆さん、聴き上手であること。
そして初めてのお客さまに向き合うときに気をつけていることは
「商品を売ろうとするのではなく、まずはいい関係を創ること」だそうです。